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昨日消えてしまった部分です。
まったく同じには書けません。
雰囲気似てます。
こういう時どうして消えてしまった方のものが良かったように感じるんでしょう。
人間って不思議です。
まったく同じには書けません。
雰囲気似てます。
こういう時どうして消えてしまった方のものが良かったように感じるんでしょう。
人間って不思議です。
混乱して、どうしていいかわからなくて、うつむいてぼんやりするボクの、テーブルの上に投げ出された手の甲をふいに暖かな感触が包む。
驚いてとっさに顔を上げると、向かいに座る明子が思案気なまなざしでうかがうようにボクを静かに見つめていた。
「こんなこと、私が話していいのか、義晴先輩が亡くなった時からずっとずっと考えていたんだけれど……。
当たり前だけど結局どうしても答えは出なくて。
ただ、義晴先輩はあまりにも急に亡くなったって聞いたから。
きっと何もあなたに告げてなかったんじゃないかって。
だったら、私があなたに告げなかったら、あまりにも先輩が可哀相で……」
ボクは宇宙人とでも話しているのではないかと思わずにはいられなかった。
さっきから明子の言葉の意味が一つもボクには判らなかった。
「うちの兄も先輩の病気の事知らなかったし、私も知らなかった。
先輩は誰にも知らせないままで、完治してから話そうと思ってたって事をあなた達のお母さまからうかがって。
それから義晴先輩が退院したら結婚してたくさん子供を作るって言ってたって聞いて。
私、とうとうあなたの前まで来ちゃった……」
静かに目を伏せると涙が一滴、ゆっくりと明子の頬を伝って零れ落ちた。
気がつけば、ボクの手に重ねられた明子の柔らかな手が小刻みに震えていた。
うつむいてぽつりぽつりと搾り出すように言葉がつむがれる。
そして瞬きのたびにはらはらと涙がテーブルを濡らした。
「私達付き合おうとしたけれど、結局付き合わなかったのはお互いに別に特別な人がいたからだったの。
そして私達二人の特別な人は同じ人だったわ」
明子の言葉にボクは呼吸を忘れた。
まるで時が止まったように思考も何もかもが停止する。
そしてありえない答えがボクの頭に浮かんで、それを振り払うように頭を振った。
「違うの。それは間違えじゃ無い。あなたの考えたとおりなのよ」
「――そんな、ボク達は……兄弟だ」
「そうね。でも、それが何の関係があるの?? 好きだっていう気持ちは誰にもとめる事は出来ないのよ」
「そんなはず、ない。
兄貴は退院したら結婚してたくさん子供を作るんだって、いつも言ってた。
兄貴がボクの事をだなんて、そんなはず、無い……」
明子は否定するかのように静かに首を振った。
「私、その話を聞いた時、判ったの。いろいろな事が、恐らく殆ど」
今までただ重ねられていただけの手が、ボクの手を上から強く握った。
「私と先輩が付き合うのをやめにしようって結論が出た時、私、言われたの、先輩に。
あなたのために絶対にこの気持ちを告白しないで欲しいって」
「それは兄弟だから!」
「そうなの、私もその時は判らなかった。
義晴先輩の気持ちが。
兄弟だから、大切だから、だから私の気持ちを許してくれないんだと思ったの」
明子の顔がくしゃりと歪んだ。
「でも、違ったの。
だって、私、あの時、すべてを諦めたの。
だから先輩の『結婚して云々』って言葉を聞いて、初めて判ったの。
あの時の私と同じだったんだって。
先輩も諦めたんだって。
すべてを――」
驚いてとっさに顔を上げると、向かいに座る明子が思案気なまなざしでうかがうようにボクを静かに見つめていた。
「こんなこと、私が話していいのか、義晴先輩が亡くなった時からずっとずっと考えていたんだけれど……。
当たり前だけど結局どうしても答えは出なくて。
ただ、義晴先輩はあまりにも急に亡くなったって聞いたから。
きっと何もあなたに告げてなかったんじゃないかって。
だったら、私があなたに告げなかったら、あまりにも先輩が可哀相で……」
ボクは宇宙人とでも話しているのではないかと思わずにはいられなかった。
さっきから明子の言葉の意味が一つもボクには判らなかった。
「うちの兄も先輩の病気の事知らなかったし、私も知らなかった。
先輩は誰にも知らせないままで、完治してから話そうと思ってたって事をあなた達のお母さまからうかがって。
それから義晴先輩が退院したら結婚してたくさん子供を作るって言ってたって聞いて。
私、とうとうあなたの前まで来ちゃった……」
静かに目を伏せると涙が一滴、ゆっくりと明子の頬を伝って零れ落ちた。
気がつけば、ボクの手に重ねられた明子の柔らかな手が小刻みに震えていた。
うつむいてぽつりぽつりと搾り出すように言葉がつむがれる。
そして瞬きのたびにはらはらと涙がテーブルを濡らした。
「私達付き合おうとしたけれど、結局付き合わなかったのはお互いに別に特別な人がいたからだったの。
そして私達二人の特別な人は同じ人だったわ」
明子の言葉にボクは呼吸を忘れた。
まるで時が止まったように思考も何もかもが停止する。
そしてありえない答えがボクの頭に浮かんで、それを振り払うように頭を振った。
「違うの。それは間違えじゃ無い。あなたの考えたとおりなのよ」
「――そんな、ボク達は……兄弟だ」
「そうね。でも、それが何の関係があるの?? 好きだっていう気持ちは誰にもとめる事は出来ないのよ」
「そんなはず、ない。
兄貴は退院したら結婚してたくさん子供を作るんだって、いつも言ってた。
兄貴がボクの事をだなんて、そんなはず、無い……」
明子は否定するかのように静かに首を振った。
「私、その話を聞いた時、判ったの。いろいろな事が、恐らく殆ど」
今までただ重ねられていただけの手が、ボクの手を上から強く握った。
「私と先輩が付き合うのをやめにしようって結論が出た時、私、言われたの、先輩に。
あなたのために絶対にこの気持ちを告白しないで欲しいって」
「それは兄弟だから!」
「そうなの、私もその時は判らなかった。
義晴先輩の気持ちが。
兄弟だから、大切だから、だから私の気持ちを許してくれないんだと思ったの」
明子の顔がくしゃりと歪んだ。
「でも、違ったの。
だって、私、あの時、すべてを諦めたの。
だから先輩の『結婚して云々』って言葉を聞いて、初めて判ったの。
あの時の私と同じだったんだって。
先輩も諦めたんだって。
すべてを――」
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