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でも、ちょっとずつ頑張ってます。
ごめんなさい。
【暫定】 続・夢見るカラス 3
――先生、好き、大好き。
まるで甘い砂糖菓子を流し込まれるように耳元で囁かれて知らず身体が打ち震えた。ありふれた言葉が彼女の唇から紡がれるだけで特別な呪文に変化していく。私を縛る、たくさんの睦言。私を重く硬い鎧で凝り固めていたものが空気に溶けてしまうささやき声で一枚ずつ簡単に剥がされていってしまう。
――ああ!
溜息のように言葉をこぼそうとすると、不意に柔らかで温かなもので口を塞がれた。
啄ばむような可愛らしいキスが幾度となく唇に降りてきた。
合間合間に、
「先生、好き、愛してる。大好き」
その言葉しか知らない頑是無い子供のように繰り返される告白に、愛の言葉に、じわじわと私の脳に、胸に、指先に、喜びが広がっていく。
――私も、好きよ、好きなの、愛しているわ!!
出口を求めて渦巻いていた狂おしいほどの私の心の叫びは、しかし美波の唇に塞がれて言葉にはならなかった。
「ああ、せんせい、好き、大好き。アイシテル……」
私が空気を求めて喘ぐとぬるりと濡れた感触が薄く開いた唇を割って中に侵入してくる。濡れた温かな感触に、脳がしびれるような喜びに、目の奥が焼け付くように熱くなる。
愛しい相手からの口づけがこんなにも気持ちよくてこんなにも心を潤わすなんて想像もしなかった。
ぴたりと重なる身体から美波の早鐘のような心臓の音が私に伝わってくる。きっと私の心臓も同じだけ早いリズムを刻んで美波に気持ちを伝えている事だろう。
私に必死の力で強くしがみ付いてくる美波のほっそりとした未成熟な華奢な身体にそっと腕を回して、私も痛みを感じるほどに強く、彼女を抱き返した。