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早く終わるといいなぁ(希望的観測)
何度も「こんな事私が言うべきじゃないのかもしれないけれど」と繰り返しながら、明子はすべてをぶちまけるように話し続けた。
ボクの気持ちをおいてけぼりにして。
「待って、意味がわからない。
なんで兄貴が結婚の話をすると君の言う話に繋がる??
人間として結婚するのは普通悪いことじゃないだろ?」
ボクの言葉に明子は唇をかみ締めて黙った。それからささやくような小さなため息をつく。
「そう、確かに、普通の事だわ。
私こそ聞きたいわ。
どうして先輩は結局誰とも付き合わなかったの??
どうして先輩は他の誰も好きにならなかったの?
どうして誰も先輩を救ってあげられなかったの??」
そしてボクは気がついた。
明子は自分を責めてる。
これは告白であると同時に懺悔なのだと。
「君の考えすぎだ。兄貴が誰とも付き合わなかったのは病気の事があったからだし……」
「いいえ、発病したのは5年前でしょう??
どうしてそれまでも誰とも付き合わなかったの??
――どうして世界中で一番あなたの傍にいることだけを選んだの??」
ボクはとっさに握られていた手を振り払った。怒りで握ったこぶしがぶるぶると震える。
「死んだ人間を中傷する言葉は聞きたくない!!」
「中傷じゃないわ! 事実なんだもの」
「本人じゃないのにどうして事実だとわかるんだ!」
思わず声を荒げて、ハッとする。
客がまばらにしか入っていない昼間の時間とはいえ、小洒落たティールームでするべき話ではないし、態度でもないだろうと。
ボクの様子に明子も少し声を潜めて、落ち着きを取り戻した。
「ごめんなさい。あなたを非難しているわけじゃなくて、もちろん、義晴先輩を中傷したいわけじゃないの。
気に障ったら本当にごめんなさい。
うまく言えないんだけど、もう少しだけ付き合ってもらえないかしら?」
ボクはゆっくりと頷いた。
確かにこんな風にちょくちょく中断するよりは全部彼女の話を聞いてから反論すればいいと考えたからだ。
明子はしばらく黙ったままで思案するように目を閉じた。長い睫毛が濡れているのを見て、息がつまる。
こんなに長く一緒にいたことなど無い。
こんなにたくさん話したことなど無い。
こんなに彼女を見続けることを許されたことは無い。
ただ、黙って飽きることなく明子を見つめ続けていると、伏せられていた目が瞬いて、ゆっくりと開かれた。
視線が合う。
どれくらいそうして見つめ合っていただろう。
明子が泣いて赤くなった目の淵を柔らかにほころばせた。
それは胸騒ぎがするほど優しい顔だった。
「うまく言えなくてごめんなさい。
結論から言うと、義晴先輩はあなたを世界で一番愛していた。
あなたの傍にいられて、幸せだった。
それをあなたに伝えたかったの」
「それは兄弟だから……」
「そうね、それは否定しないわ。今となっては誰にもわからないことだし。
ただ、それ以上に特別だったと思うわ。
その証拠が『結婚云々』の発言なの。
大事なのは結婚という言葉じゃないのよ。
『たくさん子供を作る』って部分なの」
ボクが首をかしげると、明子は軽く肩を竦めた。
「判り辛くてごめんなさい。
あなたの事を愛していつつ諦めた発言だってどうして私が判るかと言うと、あなたが誰かと結婚して子供を作ることを先輩が諦めたから。
先輩はあなたの代わりにたくさん子供を作るって決めたのよ。
あなたの生き様を肯定して。
あの時、私達は両想いだったのに、それを始める事も無く先輩に終わらせられたのに……」
ボクの気持ちをおいてけぼりにして。
「待って、意味がわからない。
なんで兄貴が結婚の話をすると君の言う話に繋がる??
人間として結婚するのは普通悪いことじゃないだろ?」
ボクの言葉に明子は唇をかみ締めて黙った。それからささやくような小さなため息をつく。
「そう、確かに、普通の事だわ。
私こそ聞きたいわ。
どうして先輩は結局誰とも付き合わなかったの??
どうして先輩は他の誰も好きにならなかったの?
どうして誰も先輩を救ってあげられなかったの??」
そしてボクは気がついた。
明子は自分を責めてる。
これは告白であると同時に懺悔なのだと。
「君の考えすぎだ。兄貴が誰とも付き合わなかったのは病気の事があったからだし……」
「いいえ、発病したのは5年前でしょう??
どうしてそれまでも誰とも付き合わなかったの??
――どうして世界中で一番あなたの傍にいることだけを選んだの??」
ボクはとっさに握られていた手を振り払った。怒りで握ったこぶしがぶるぶると震える。
「死んだ人間を中傷する言葉は聞きたくない!!」
「中傷じゃないわ! 事実なんだもの」
「本人じゃないのにどうして事実だとわかるんだ!」
思わず声を荒げて、ハッとする。
客がまばらにしか入っていない昼間の時間とはいえ、小洒落たティールームでするべき話ではないし、態度でもないだろうと。
ボクの様子に明子も少し声を潜めて、落ち着きを取り戻した。
「ごめんなさい。あなたを非難しているわけじゃなくて、もちろん、義晴先輩を中傷したいわけじゃないの。
気に障ったら本当にごめんなさい。
うまく言えないんだけど、もう少しだけ付き合ってもらえないかしら?」
ボクはゆっくりと頷いた。
確かにこんな風にちょくちょく中断するよりは全部彼女の話を聞いてから反論すればいいと考えたからだ。
明子はしばらく黙ったままで思案するように目を閉じた。長い睫毛が濡れているのを見て、息がつまる。
こんなに長く一緒にいたことなど無い。
こんなにたくさん話したことなど無い。
こんなに彼女を見続けることを許されたことは無い。
ただ、黙って飽きることなく明子を見つめ続けていると、伏せられていた目が瞬いて、ゆっくりと開かれた。
視線が合う。
どれくらいそうして見つめ合っていただろう。
明子が泣いて赤くなった目の淵を柔らかにほころばせた。
それは胸騒ぎがするほど優しい顔だった。
「うまく言えなくてごめんなさい。
結論から言うと、義晴先輩はあなたを世界で一番愛していた。
あなたの傍にいられて、幸せだった。
それをあなたに伝えたかったの」
「それは兄弟だから……」
「そうね、それは否定しないわ。今となっては誰にもわからないことだし。
ただ、それ以上に特別だったと思うわ。
その証拠が『結婚云々』の発言なの。
大事なのは結婚という言葉じゃないのよ。
『たくさん子供を作る』って部分なの」
ボクが首をかしげると、明子は軽く肩を竦めた。
「判り辛くてごめんなさい。
あなたの事を愛していつつ諦めた発言だってどうして私が判るかと言うと、あなたが誰かと結婚して子供を作ることを先輩が諦めたから。
先輩はあなたの代わりにたくさん子供を作るって決めたのよ。
あなたの生き様を肯定して。
あの時、私達は両想いだったのに、それを始める事も無く先輩に終わらせられたのに……」
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