恋に、堕ちる。３ 2012/10/26 (Fri)

　需要なさそうですが、だらだらと続いています。

　週末に、『モテモテ大作戦』の続きを書けるといいのですが……。

【恋に、落ちる。　３】


　使っていたメールアドレスを変え、ブログを閉鎖し、ツイッターのアカウントを削除した。

　いつもはパソコンからアクセスしていたからプロバイダーを変えた。携帯からのアクセスは数える程だったから乃明に知られているメールアドレスだけを変更した。

　これで相手から私にアクセスする事は出来なくなった。

　後は私が綺麗さっぱり乃明を忘れるだけ。

　乃明を忘れるだけ。






　それが出来れば苦労はしない。

　理性では判っていても心は制御できない。

　結局私は毎日毎日乃明のサイトを覗き、ブログを覗き、呟きを追いかけた。

　夜寝る前と、朝起きてすぐ、日に２度も。

「完全にストーカーだわ」

　暴走する恋心にブレーキは遅すぎた。

　ただ、日々、そうしているだけで、すぐ傍に乃明の息遣いが聞えてくるような錯覚すらした。

　顔も知らない、声も聞いたことがない、女子高校生の、乃明。

　年よりずいぶん大人びていて、でも凄く純粋で――それは若さゆえかもしれないけれど――綺麗な綺麗な乃明。

　私のこんな様子を知ったらたいていの人間は『恋に恋しているだけ』『顔も知らない人間を好きになるわけがない』と言うだろう。

　でも、私にとってこの恋はおそらく初めての真剣な痛みを伴う恋だった。