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秋花粉で夕方になると微熱が出て頭が痛くなります。

花粉のない世界に行きたい。

でもそんな世界はきっと恐ろしく殺伐としているに違いない。





次回最終回なはず……。

と、思ってたけど、後2回かな??

延びるのはどうしてかしら?





【恋に、堕ちる。 6】


「お母さん、お母さんでしょう??」

 振り返った私に若い女性は詰め寄った。

「私、楓です、娘の楓……」

 眼鏡を掛けているということは目が悪いのだろうか。

「ごめんなさい」

 私は強く掴まれた肩を身をよじって外させると、努めて穏やかに言葉をかけた。

 何か事情があるらしいことは必死な表情と言動で知れる。

 だからこそ驚きを押し込めて冷静に対応しなければと思ったのだ。

「ごめんなさいね、人違いみたい。私は結婚したことも子供を産んだ事も無いの」

 私の言葉に女性ははっとして私をまじまじとぶしつけなほど長く見つめた。

「す、すいません。そうですよね、私の母がこんなに若い方なわけないですよね。ごめんなさい!!」

 女性は眼鏡が落ちそうなぐらいペコペコと何度も激しく頭を下げた。

「いいのよ、勘違いなんて誰にだってあるし」

「本当にすいません、小さい頃に母と別れたので顔も覚えてなくて……。嫌な気持ちにさせてしまいましたよね? 本当にほんとにごめんなさいっ!!」

 私は往来で深く謝罪する女性に、歩道の端に寄るように促してから笑顔を作った。

「気にしなくていいのよ。間違えは誰にでもあることだし。あなたのお母さんじゃなくてごめんなさいね」

 私の言葉に女性は打たれたように身を震わせた。

 眼鏡の奥の大きな瞳が揺れている。

 なんとなく私はその時、自分の子供ぐらいの女性に恋焦がれている馬鹿な自分であるくらいならこの女性の母親であってあげられれば良かったのに、と思った。

 少なくとも有害が有益になるから。

 そうしたら落胆させずに済んだのに……。

 何度も繰り返し謝罪した女性はやがてギャラリーに戻ると言って踵を返した。

 押し問答じみたやり取りにいささかうんざりしていた私はやっとホッと息をついた。

 ところが、ギャラリーに戻りかけた女性は再びくるりと振り返って、

「ご迷惑掛けついでで恐縮なのですが、先ほどご覧いただいた絵の中で少しでも心に残った絵とか、お気に召した絵とかありましたか??」

 確かにこの共同個展に参加している一人であるならばとても気になる事だろう。

 私は申し訳なさそうに、けれども興味に瞳を輝かせた眼鏡の女性の様子に自然と引き結んでいた唇が緩むのを感じた。

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