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そろそろ転部分。

二転してクライマックス……と言うほどのものでもありませんが(笑)

ありきたりかな。

ありきたりかも?

いつもか、いつもだね♪


【恋に、堕ちる。 5】 


 その共同個展はとても小さなギャラリーで行われていた。

 しかし繁華街の表通りのこじんまりしたギャラリーのためか客足は途絶えることなくぽつぽつと続いていた。

 仕事を休み1日リサーチして私は翌日の夕方、会社帰りにギャラリーを訪れる事に決めた。

 乃明には会いたいけれど、会いたくないという気持ちもある。

 その時会えなければそれも運命だと、諦めようと思っていた。

 もともと私の人生と掠りもしないはずの乃明の人生なのだから。



 夕方から閉館までが一番客足が増える時間だった。

 案内の葉書を手にきょろきょろしながら入っていった中年男性に続いて、通りがかりにふらりと立ち寄ったようなフリをして私は受付で記名した。

 ざっと一見してどれが乃明の作品なのかすぐに判った。

 独特で繊細なタッチはパソコン画面よりも鮮明に私の目に飛び込んできて、私の胸を捉えた。

 不覚にも激しく心を揺さぶられた私は、その乃明らしい温かで優しい絵の前で涙を流していた。

 きっと、乃明の絵を見て泣くなんて私ぐらいだろう。

 はっと我に返って慌てて涙を拭う。

 周囲を見渡したけれど、誰も私の様子に目を留めていない事を確認してホッとする。

 あまりにも自分の行動が怪しかったから……。

 記憶に刻み込むように一枚一枚じっくりと見て回った。ただし、乃明以外の作品も同じように。

 乃明の絵だけ見ていたらあからさまに怪しいといぶかられてしまうから。

 記念に一枚買って帰ろうかと思わなくもなかったけれど、個展が終わった後にもう一度足を運ぶ事になるかもしれないと思ってやめにした。

 聞けば配達してくれるものなのかも知れないけれど、万が一絵に何かあっては嫌だし、特別な客として目に止まるのも避けたかった。

 そして後ろ髪を引かれながらギャラリーを後にした。

「待って、待って下さいっ!!」

 それが私にかけられた制止の言葉だとは思わずに歩き続けていると、不意に肩を捕まれた。

 びっくりして振り返ると、眼鏡をかけた髪の長い若い女性が肩で息をして立っていた。

「お母さん? お母さんでしょ??」

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